線状降水帯、3日目。
大雨特別警報がスマホに入るようになった。
レベルは5。
「自分の命は自分で守れ」と言う。
停滞前線の中から生まれる線状降水帯。
お盆の前日から続いて3日目になった。
家人「お盆の時期にこんなに雨が続くって
なかったですよ」
私「うん、記憶にないね、お盆はいつも
暑かった」
家人「今年は本当に変です、台風は来るし
雨は降り続くし」
私「それにコロナが増えた」
家人「このまま地球はお終いになりますか」
私「まあ、そんなことはないだろうが
どうなるかわからんよ」
朝っぱらから、しめっぽい話だった。
***
スマホはレベル5のシグナルがなった。
家人「あんた来てよ」
私「どうした」
家人「モコを見てよ、玄関の少し開けた
扉の前に座っているよ」
私「モコはレベル5がわかっている」
家人「ああ、自分の命は自分で守れですか」
私「そうだよ、いち早く逃げられるように
扉の前で待機している」
家人「動物の感は鋭いと言いますよね」
私「このままで様子を見よう、そのうちに
居間に戻るだろうよ」
家人「戻らなかったら、私も貴重品を手元に
置いときましょう」
モコはお昼近く居間に戻った。
餌を食べて水を飲み座布団の上で
眠り始めた。
動物的直観がもう安心だと言っているの
かもしれない。
***
訪問看護センターから電話があった。
午後4時からの予定を早めます。
12時からで良いですか。
早い方が良い、ありがたい。
マッサージで呼吸を楽にしてもらいたい。
線状降水帯は、低気圧の親分のようだ。
こいつのおかげで、息が苦しい。
マッサージの後は、パルスオキシメータの
血液酸素量が98%まで上がった。
ずいぶんと楽になった。
感謝。
***
居間に置いている水槽のメダカにも
覚悟しておいてもらおう。
おい、お前たちもし家に水が入ってきたら
風呂のバスタブに水を張って、お前たちを
そこに移すからな。
停電をしても水の量が断然多くなるから
酸欠の心配はなくなる。
しかし、バスタブより水が多くなったら
必死で泳げよ。
レベル5だからな、自分の命は自分で守れよ。
なにい、餌はどうするのかって。
こんな時だよ。
自己調達だよ。
自給自足だよ。
甘えるな。独立しろ。
メダカはわかっただろうか。
***
家の脇の水路。
どういう訳だかこの雨降りで水位が上がらない。
雨降りが続くと道路まで水が上がっていたのに。
家人「どこかで詰まってしまったのでしょう」
私「そう言えば、最近はみんなが老人になった
一斉清掃をやらないからなあ」
まあ、うちよりずっと上のほうで詰まったのなら
ありがたい。
下のほうで詰まれば逆流で影響が出る。
家人「考えが、身勝手ですね」
私「そう言ってもな、本来はお役所の仕事だろう」
***
レベル5では、2階に避難しなさいと言う。
うちは平屋だ。
家人「その時はどうしましょう」
私「押し入れの上の段まで逃げる」
家人「それ以上になったらどうします」
私「わからん、2人ともお陀仏でお盆に
間に合ったことになる」
***
線状降水帯殿。
どこかに消えてくれ。
また、あした。
ポチッとをいただくと
うれしいです。