そこに居つくには、歳月がかかる。
家人「夕べ、大豆は水に漬けなかったのね」
朝食に酢大豆が出なかった。
私「おー忘れてしまった」
一晩水に漬けて、翌日圧力鍋で
調理している。
もちろん、圧力鍋担当のワシが
している。
家人は、圧力鍋の恐怖症である。
本当は仮病かもしれない。
***
大豆を黒酢に漬けたものを
毎朝食べている。
本当ならば、黒豆が理想である。
その黒豆を黒酢に漬けたものが
一番良いのだが手に入らない。
車があれば道の駅までちょいと
ひとっ走りで手に入るのだが。
畑で野菜作りをしていた時は
この黒豆を作っていた。
そのタネは、義姉からいただいたもので
そこで5年続けて作っていた。
ワシの所で5年作った。
10年も作り続けると、もはや丹波の
黒豆ではない。
立派な地元の黒豆である。
丹波の黒豆だとなかなか育てにくいが
10年も作り続けたので、良く育つ。
その時間のせいで、地元の野菜に
なったのだろう。
***
嫁さんを、遠いところから
迎えることに似ている。
異なった地域の風土で育った嫁さんが
この土地になじんで「よそもん」と
言われなくなるまでは相当に時間がかかる。
嫁さんは、そこのところをジッと
我慢して子供たちを育て上げる。
お姑さんと仲良くなる。
そこに居ついてしまう。
それで、やっとそこの人になる。
努力と歳月が作り上げた。
***
黒豆のタネは2人の友達のところで
受け継がれた。
その2人も畑をやめた。
黒豆のタネがどうなったか
聞いたこともない。
地元で、誰かが育てて
くれていれば良いのだが。
***
家人「あんた、今日は大豆を忘れないで
水に漬けてください」
私「おう、すぐにやるよ」
ドッコイショと言って立ち上がった。
では、またあした。
ポチッとをいただくと
黒豆も喜びます。