草取りばあさんで良いよ。
朝、家の外に出ると水路沿いの道に
Aさんがいた。
草取りをしている。
私「おはよう、ここの草取りをしてくれるの」
Aさん「そのつもりで草取り鎌を買って来たよ」
そう言うと鎌を上にあげて見せてくれた。
今まで使っていたのは相当に古いもので
ぜんぜん切れなくなっていた。
切れない草取り鎌だと仕事がさばけない。
そう話しながらも、草取り鎌を持った手は
忙しく働いていた。
Aさんは仕事が早い。
借りた畑で野菜を作っている時は、お隣さんだった。
家人は「仕事は早いけど、草の取り残しがある」
多少、負け惜しみが入っていたようだ。
私「おーい、横の道をAさんが草取りをしている」
家人「私も草を取るよ」
そう言いながらAさんと並んで草取りを始めた。
やれやれ、２人並んでだったらおしゃべりで
草取りは進まんだろうよ。
＊＊＊
Aさん「ゴーヤは出来ていないかね、２本欲しい」
娘の旦那はゴーヤチャンプルが好きでね。
あそこに行くときは、必ずゴーヤを持ってゆく。
チャンプルを作ってやる。
私の作ったチャンプルでビールと焼酎を
飲んで御機嫌さ。
ありがたいね、お役に立って。
私「多分2本とれるよ、持って行きなよ」
＊＊＊
私は、草取りばあさんで良いよ。
裏のKさん所の庭。
草取りをすることになった。
そのKさんの友達のところも草取りをする。
２人とも足腰が弱って、草取りが
出来なくなった。
草を取つてもらって助かると言うが、私も
仕事が出来て助かるよ。
この年になるとやれることが少ない。
草を取るとか、たまに花の苗を植えるとか
あとは、テレビを見るぐらいだ。
年を取るとこんなにやれることが
少なくなるとはね。
とんだ計算違いだよ。
＊＊＊
私「ワシも草取りが出来る元気が欲しいね」
Kさん「元気になって草取りをして、夕方には
ビールを飲んで」
私「明日からは、オリンピックだから昼からは
テレビを見る」
Kさん「時間を過ごせてうれしいよ」
では、またあした。
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