桑の実のゼリーあるいはジュエリー
昔、お菓子のゼリーは宝石が語源だと
聞いていた。
今、ジュエリーと言うものがあるようだが
同じものかねえ。
***
家人「Mさんからいただいたよ」
私「何をかねえ」
相変わらず主語がない。
こちらから、問いかけんとわからん。
敵もさるもので、足りないものがあれば
相手がたずねると思っている。
家人「毎年のことだから、わかるだろうが
桑の実のゼリーだよ」
私がわからなのが、悪いような
言い方になった。
まあ、仕方がないことだ。
長年、こうやって暮らしてきた。
私「ああ、桑の実のゼリーか」
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桑って、知っていますか。
蚕(かいこ)の餌になります。
蚕が育ち繭(まゆ)を作り。
その繭で絹の糸が生まれます。
毎年、皇居の皇后さまは、この蚕さんを
育てていらっしゃいます。
その桑の実です。
桑の木は、2種類あります。
日本在来の桑と西洋桑。
在来種は、葉っぱが小ぶりで桑の実も小さい。
西洋種は、葉っぱが大きく桑の実も大きい。
Mさんの所は、西洋種で実が大きい。
***
家人「今年は早くないかい」
私「そうかねえ、そうかもしれない」
今年は、何もかも早いようだ。
桑の実のゼリーは、梅雨が明けてから
もらっていたような気がする。
Mさんちの桑の木は、大木になっている。
通りに面した部分は枝がせり出している。
桑に実が熟して、落ちる。
人や車が通ってつぶれる。
赤インクをこぼしたようになる。
Mさん「掃除するけどね、すぐにこう
なっちまうんだよ」
毎年、愚痴をこぼしている。
***
一度、Mさん所の桑の実を手に取って
食べてみた。
まるっきり味がしなかった。
ワシが老人になり舌が鈍感に
なっている。
そう思った。
Mさんにこのことを話した。
Mさん「ええ、甘くないのですから
ゼリーを作る時は、お砂糖を入れています」
甘みを感じなかったのは、ワシの舌の
せいではなかった、安心した。
***
子供のころに、蚕さんを育てた。
桑の葉がなかった。
チシャと言う野菜の葉を与えて育てた。
立派な繭が数個出来上がった。
学校の先生は、ほめてくれた。
もう今は、蚕さんを育てる家はすくない。
子供が蚕さんを育てることも
なくなっているだろう。
***
そんな事を家人と話しながら、ゼリーを
いただいた。
今風に言えばジュエリーかもしれない。
では、またあした。
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