精霊馬(しょうりょううま)を作ろうか。
「お盆にさ、孫たちに野菜の動物を
作って見せたい」
Hさんは、そう言った。
私「ああ、精霊馬のことだろう」
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精霊馬はキューリとナスで作る。
キューリは馬。
ナスは牛。
その話はお盆に返って来るご先祖さんは
早く里に帰り着きたいので、足の速い
馬に乗って来る。
お盆が終わるとご先祖さんはあの世に帰る。
里での居こごちが良かったので帰りたくない。
出来るだけゆっくり帰る。
足の遅い牛に乗って帰る。
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昔は盆の初日に迎え火を焚いた。
そこにはキューリの馬があった。
盆のおわりには送り火を焚いた。
そこにはナスの牛があった。
今は、玄関ざきで火をたくことも
少なくなった。
都会の玄関ざきで火を焚けば、消防車が
来るおそれがある。
マンションの扉の前で火を焚けば
大騒動になる。
考えないで下さい。
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なあに、作るのは簡単。
キューリとナスに割りばしで足を
4本つけるだけ。
まあ、その足のつけ方で少しは
キューリの馬は早くとかナスの牛は
ゆっくりな姿が出来る。
とにかく、4本の足をつけるだけ。
昔、作ったものを写真で見せた。
Hさん「なるほど、割りばしで足を
4本つけるだけかわかったよ」
私「今の子供たちは喜ぶかどうか
わからんよ」
Hさん「そうだよ、遊びと言えば
ゲームだからね」
***
数年前まだ畑で野菜を作っていたころ
息子のところにキューリと太目のナスを
宅急便で送った。
家で作ったキューリの馬とナスの牛を
家人がスマホで写真を写して息子に送った。
息子はそれを見て「なつかしい」と返事が来た。
孫たちは、送ったキューリとナスで作った。
写真を撮って嫁さんの里に送った。
里の両親も「なつかしい」と言ったそうだ。
今は畑を止めている。
キューリとナスを孫たちに送れないのが
残念だ。
では、またあした。
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