「無理くり」「無理やり」「やりくり」
手元に置いてあった雑誌を何気なく
ながめていた。
「無理くり」詰め込んだ。
と書いてあった。
視線が止まった。
「無理やり」の間違いではないか。
家人にたずねた。
私「なあ、『無理くり』って知ってるか」
家人「知らないなあ、『無理やり』の
間違いではないの」
ワシと同じ考え方をしていた。
ここらへんでは聞いたことがない。
***
「無理やり」「無理くり」「やりくり」と
続いて言葉的には関連している
ような気もする。
ネットで調べた。
「無理くり」は北海道と東北で使われる。
その他には、九州でも使われる。
飛び火したのではと書いてある。
ワシは転勤が多かった。
福岡、熊本、大分、長崎を回った。
暮らしたところでは「無理くり」は
聞いたことがなかった。
ネットをさらに調べると、長崎では
使っていたと言う人がいた。
ワシは長崎と言っても、五島の福江で
仕事をした。
長崎市内では使っているかもしれない。
さらに、京都、奈良で使うとあった。
***
方言は各地にあるが、これほど飛び飛びの
ものも珍しいのではないか。
まだ、ほかにもあるのだろうか。
なにか関連性はないか。
江戸時代の北前船はどうだろうか。
北の品を長崎に、途中の舞鶴あたりを
中継点に京都、奈良に品物をおろした。
北のほうで「無理くり」荷物を詰め込む。
その他の地域は「無理やり」でその間を
「やりくり」した。
独断と偏見のイメージ。
家人「『やりくり』なら私だよ
給料前はいつも苦労したよ」
では、またあした。
ポチッとをいただくと
うれしいです。
思い違いは、孫まで残るか。
お待たせしました。
良く読むブログに、ワシと同じ思い違いを
したことが書いてあった。
***
スポンジの食器洗いで片面に繊維の荒い
ものを張り付けたもので、色は焦げ茶色
その下のほうは黄色いスポンジ。
台所の流しで皿の上に乗っていた。
カステラと間違えた。
うん、そうだそうだとうなずいた。
ワシもまったくその通りで、手に取って
食べようかと思ったくらいだ。
私「あんときゃあ、本当にカステラだと
思った」
家人「あんたはつまみ食いの名人だから
天罰が降りたんだ」
で、この話は一瞬のうちに息子と娘に
伝わった。
あっという間もないくらいだ。
すぐに息子から電話が入って来た。
用件は聞かずともわかっている。
息子「親父よ、意地汚いことはするなよ」
私「わかったよ、しかし高級なカステラか
羊羹を食べたいね」
そう言うと電話はプツンと切れた。
口うるさくて冷たい奴だ。
***
思い違いをするのはワシだけじゃあない。
家人の母親と同居したことがある。
まあ、いろいろな事があってしばらくの間
一緒に暮らした。
ある日。
義母「高級なお菓子をもらったから
あんたが食べてちょうだい」
そういって水屋の中から四角の
ケーキの箱を取り出した。
手に取った。
香りはする。
少しい違和感があった。
箱を開けてみた。
中味は丸みを帯びた四角でセロハンに
包んであった。
それを破いた。
硬い、乳白色。
化粧石鹸だった。
私「ばあちゃんこれ食えねえ」
義母「アラっ石鹸だね」
私「うん、石鹸」
顔をあわせて2人で笑った。
あのころ義母は何才だったろうか。
もう今は、俺たちもそんな間違いをする
年になったんだと、つくづく思う。
***
家人「なに、ニヤニヤしてるのさ」
私「いやなに、思い違いをしたことさ」
家人「あのカステラのことかえ」
私「それもあるが、義母さんの
高級ケーキの話しだ」
家人「母さんからきいてるよ」
私「話は両方とも子供たちも知って
いるよな」
家人「たぶんね、忘れていなけりゃあね」
息子も娘も忘れていて、孫には伝わって
いないことを願った。
末代の恥になるから。
では、またあした。
ポチッとをいただくと
うれしいです。
つまずくな、転ぶな、つかまれ。
ずおうの狂い咲き。
家人「レンガの横に置いたの何センチ
だろうね」
私「10センチぐらいか、それがどうした」
家人「いえね、室外機のところに網籠を
干しに行った時レンガにつまずいた」
私「転んだのか」
家人「うんにゃ、横のタラノキに
つかまった」
家人がタラノキにつかまった姿を
想像してゾッとした。
私「よかったない」
家人「ええ、助かりました」
ゾッとしたのは、転倒して骨折した
ことではない。
タラノキが、山に生えている野生のもので
だったらと思った。
野生のタラノキは、鋭いトゲが無数に
ついている。
手で握ろうものなら重傷になる。
私「園芸品種のタラノキで
良かったない」
家人「そうですね、それで助かりました」
***
南向きに設置されているエアコンの
室外機は日当たりが一番良い。
家人はその上にいろいろなものを置いて
干している。
ザルや食器類、白菜も大根も。
家人「お天道様に当てると、消毒になるし
野菜は美味しくなる」
ものを干すたびにそう言ってる。
おっかさんの言葉だった。
私「なあおい、花壇を狭くして
あのレンガはなくそう」
家人「通り道になれば安心する」
私「あんたもワシも、転んで骨折は
したくない」
***
訪問看護の人の話し。
年寄りの多いのは、転倒して骨折を
される方です。
これは、治療も大変ですが、その後が
長引きます。
リハビリが必要になります。
下手をすると後遺症が残ります。
車いす、歩行器、杖など必要になります。
なおり具合によっては施設に入ったり。
訪問看護を受けたりです。
私も、そんな方を3軒受け持っています。
***
ワシの気のせいかもしれんが、転倒骨折は
女性に多いような気がする。
なにかの理由があるのかもしれん。
ワシも家人も81才を過ぎた立派な
老人である。
転んで骨折するような場所はなくして
しまいたい。
小型のGPSレーダーで、そこは危ないです
転倒の可能性がありますと、知らせて
くれないか。
そういうおしゃべりなら助かるよ。
では、またあした。
ポチッとをいただくと
ありがたいです。
ねえ、奥さん話をきいて。
明日は咲きますよ。
家人「ほら、この間の奥さんがね」
私「ほらこの間じゃ、なんのことか
わからん」
家人「ご主人がシニアカートに
乗っている、あそこの奥さん」
私「Nさんだろう」
家人「そう、その人、そこの奥さん」
私「そこがどうした、また入院か」
家人「あの奥さんが少し話を
聞いて下さいと言った」
***
Nさんの奥さんの話し。
お主人はお休みと言って寝室にいった。
奥さんは後片付けと明日の準備をして
テレビのドラマを見て寝室に行った。
主人は布団の手前でうつぶせで倒れていた。
声をかけたが返事がなかった。
静かにそっと仰向けにしてまぶたを広げた。
瞳孔が開いていた。
どうしようかと考えた。
誰に連絡するか。
娘か。
兄弟か。
かかりつけの病院か。
で、119番に電話した。
***
救急車が来た。
見つけて何分ぐらいで電話したのかと
たずねられて、5,6分ぐらいと言うと
「遅い」と言われた。
その言葉が気に入らなかつたらしい。
「それくらい誰だって考えますよね」
何回も繰り返して話したそうだ。
救急車の中で息を始めた。
集中治療室に寝かされた。
翌朝、このまま入院されなすか、その時は
検査が続きます。
このまま連れて帰ります。
タクシーで帰って来た。
家の前に来て生き返りました。
今日はなんともないようです。
***
家人「話の聞き役だった」
私「病気は何だったのか」
家人「それがねえ、何も言われなかった
どんな病気ですかと聞けなかった」
まあ、元気であればそれで良い。
あそこは、よそから来た人で友達も
少ないようだ。
誰かと話したかったようだ。
これを機会に、おしゃべりの仲間に
入れば良い。
これはちょいと、おせっかいかもしれん。
では、またあした。
ポチッとをいただくと
ありがたいです。
衣替え、粗大ごみ、濡れ落葉。
季節外れの茗荷花、こんなこと初めて。
今朝の居間の温度は22度だった。
夕べ寝る前にセキが出た。
ノドにひっかかるような、たちの悪いセキ。
こういう時は決まってタンが出にくい。
その時に見た温度計は25度。
そうかだいぶん冷えて来たんだ。
マスクをした。
鼻から出入りする空気が、体温で温められて
ノドにひっかかるような感じは幾分か
良くなり呼吸が楽になった。
***
家人「ねえあんた、明日あたりから
寒くなりそうだよ」
私「さっき見たテレビは寒気が南下
してくると言っとった」
家人「衣替えをしましょうか」
私「ああ一番良い時かも、ワシの分は
自分でするよ」
***
年を取って初めてわかることが多い。
体験をしないとわからない。
最近分かったことは、その日の温度が
急な変化をするとついていけないことだ。
今年は、いまだに日中の気温が
30度以上に上がる。
朝が22度で日中は30度。
その差は、8度ある。
これに対応するために昼までに
3回着替える。
それで今度は、夕方にかけて
3回着替える。
忙しいことである。
なにも仕事らしい仕事はしていないでも
1日に6回着替えることが大仕事に
なっている。
***
気温が下がることは、ありがたいねえ。
暮らしのしきたりや習慣は季節に
合わせていた。
それでその季節をしのぎやすく
楽しいものにしてきた。
衣替えもその一つで、年中行事である。
しかし最近は様子が変わった。
春や秋の変わり目が定まらなくなってきた。
年寄りになって、体温の調節が大仕事に
なって来た。
季節の変わり目はスムーズに乗り
越えないと体の調子が悪い。
***
最悪だと病院のお世話になる。
それで薬が増える。
薬が増えると、飲み忘れも増える。
そうなると
家人「あんた、ボケが始まったのかい」
私「なにい、薬のほうはあんたが良く
忘れる」
家人「私のことにケチをつける気かい」
とまあ、家の中が気まずくなる。
病院の先生は、ストレスが溜まっていると言う。
ストレスが溜まると医者はニンマリとする。
患者が増える、薬も増える。
寒さが来ると医者が喜ぶ。
***
衣替えは、数年前から自分のものは
自分でと教育された。
先生は、家人。
実行を重ねて来た。
いまでは、プロ並みだと思っとる。
家人「あまーい、やっとおさまっている
乾いた洗濯物を入れるたびに整理している」
その事は、うすうすと知っている。
私「おーい、古いマスクが出て来た」
家人「汚いものは捨ててください」
ひと昔、粗大ごみとか、濡れ落ち葉だと
騒がれた。
よくぞ、捨てられなかったものだ。
では、またあした。
ポチッとをいただくと
衣替えが無事に終わります。