老老夫婦の暮らしは、面白いに決まっちょる。

暮らしのこと,花や庭木,感じたこと,雑文ブログ。

團伊久磨はパイプのけむり、私はコーヒーの香り。

当時の喫茶店には、コーヒーに角砂糖とミルク。
ミルクは、小さなかわいい形のカップに入っていたね。


ミックスコーヒーは、私と他には財布の軽い人。


ふところの豊かな人と、味のわかる人にはストレート
コーヒーがあった。


ブルーマウンテン、キリマンジャロはストレートコーヒー
ほかにも、あったと思うけど飲まないから忘れた。


飲み始めは、ミックスコーヒーに角砂糖とミルク。
少し飲みなれると、まずミルクが外れた。


もう少し飲みなれると、角砂糖が2個から1個になる。


最後には、角砂糖もミルクもいらない、ブラックで
飲んでいた。


ストレートコーヒーのキリマンジャロやブルーマウンテンの
域までは到達しなかった。
いつも財布が軽かったせいでもある。


ある時、悪友が角砂糖を四分の一に割って、私が到着する前に
入れた。
甘味がわかるかどうか試した。


うん、甘かった、甘みがわかった。


それいらいその友達は、喫茶店で注文を出すときに 私を
指さして「こいつは、ブラック」というようになった。


この店には、アサヒグラフという大判の写真週刊誌がおいてあった。


末巻に團伊久磨という作曲家が、「パイプのけむり」という
随筆を連載していた。


息の長い連載物で、のちに本として出版されたが、その本は
27巻にもなった。


その本の題名の続け方が、実にユニークだった。

はじめが、「パイプのけむり」から始まる。

 

次が、「続パイプのけむり」その次が「続々パイプのけむり」で
次が少しユニーク、「又パイプのけむり」「又又パイプのけむり


その次が「まだ」「まだまだ」そして「も一つ」ときた。
ここらへんで終わるかと思ったら、どっこい終わらなかった。


そのあと「なお」「なおなお」「重ねて」「重ねて重ねて」
ここらへんになると、本当にユニークとしか言いようがないね。


「なおかつ」「またして」ダブリの言葉でないときは、止めようと
思ったのかもね。
それでもなお続くよ。


「さて」「さてさて」ここから少し調子が変わってくる。


「ひねもす」「よもすがら」「明けても」「暮れても」
「晴れても」「降っても」「さわやか」「じわじわ」
「どっこい」「しっとり」そして最後は「さようなら」だよ。

このことを書いた、私も少ししつっこいのかなあ。


とにかく、毎回の随筆が面白かった。
身の回りの事柄を、深く深く調べて書いてあった。
たんねんにというか、しつっこくというか。


現在は、ネット検索ができるが、当時は辞書、図鑑、文献の
たぐいで調べるしかなかった時代にだよ。


きっと、自分が納得するまで調べる人だったに違いない。
なるほどなあ、そんなことかあと感心する面白さがあったね。


作曲の仕事をするために、八丈島に家を建て自炊の単身生活。
その、八丈島の暮らしを書いたのも面白かった。


ずーっと後、野菜つくりをしているときに、「あしたば」という
八丈島の、自生野菜の苗をいただいたことがある。


「あしたば」は、天ぷらが美味しいと書いてあった記憶をたよりに
それを作って食べた。
シソの葉っぱと同じくらいに美味しかった。


團伊玖磨さんは、「パイプのけむり」だが私は「コーヒーの香り」
当時のことを思い出したよ。


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