通院日、胸の内のさぐり合い。
35日目の通院日。
なぜ、35日目になったのか。
もう、遠い話になってきた。
病状が安定しだして、1週間ずつのびていった。
当初は、2週間目の通院だった気がする。
あの頃、順調に通院日の間隔が伸びていくのは
大きな喜びだった。
もしかして「なおったよ、もう来なくて良いよ」
そう言う期待を持ったこともあった。
1、今度の先生は、冗談が通じない。
今、目の前の先生は、ワシの診察が2度目である。
5週間隔まで伸ばしてくれたのは、前任の先生。
だから、新しい先生との比較はできない。
それは、じゅうぶんわかっている。
あいさつをした後、診察用の丸い
回転椅子に座った。
先生は、大型のモニターをワシが見やすいように
位置を調整している。
画面は大きい。
ワシのパソコンの画面の5倍以上。
先生は今、ワシになにを話そうか迷っている。
画面モニターを調整しながら、話しの切り口を
さがしている。
切り口が見つかった。
先生「前回から、今日まで調子はどうだったかね」
そう来たか。
私「何とか生きています」
先生は、笑わない。
生真面目な人だろうか。
先生「呼吸はどう、タンのではどうだい」
私「相変わらずです、呼吸は苦しいしタンは
出にくいです」
前の先生だったら、ここでパルスオキシメータで
酸素濃度を測る。
だいだい96%ぐらいだった。
先生「まあまあ、健康だよ」
今度の先生に、このことを話そうか、どうしようか
差し出がましいと気分を害するかもしれん。
黙っておこう。
しばらくの間、沈黙。
先生は、レントゲンの映像を出した。
「悪いところはないなあ」
一瞬、突っかかろうかと思った。
「悪いところがないのに、こんなに苦しいのですか」
機嫌が悪い時なら、こう言ってる。
斜め後ろに座る家人は、ハラハラしている。
ワシの腰まで静止の手が伸びかかっているだろう。
我慢した。
2、血液検査の結果は。
先生「薬は、足りていますか」
私「ええ、間に合っています」
先生「湿布の薬は?]
私「まだあります」
先生「じゃあ、薬は前回の通りに出します」
私「お願いします」
先生「次回の診察は6月16日、レントゲンと
血液検査です」
これで終わろうとした。
私「あのう、血液検査の結果はどうですか」
先生は、パソコンを操作してモニターに
写しだした。
先生「大きな変化はなし、CRPの値が少し
上がっているが大丈夫だよ」
それで、診察は終了した。
3、患者との距離が縮まるだろうか。
家人「今度の先生、これで大丈夫かなあ
なんだか、大雑把のようだねえ」
仕方がない。
先生は、変えられない。
胸の内のさぐり合いは、レントゲンの映像を
見ながら始まった。
お医者さんが患者の気持ちに寄り添うと
言うがまだまだ、距離があるようだ。
これから先、この距離が縮まれば良いが。
では、またあした。
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