老老夫婦の暮らしは、面白いに決まっちょる。

暮らしのこと,花や庭木,感じたこと,雑文ブログ。

病院で怪我をした。

おはようございます。

久留米のじじいであります。

 

 

家人「ねっ!痛いでしょう」

ワシの左手首の甲を、そっと触りながら言った。

ふっくらと腫れている。

 

 

お叱りや、注意の口調と少し違う。

すこし、喜びが入っているような気がした。

 

 

家人は、よく転ぶ。

その都度、痛いと叫んでいる。

 

 

多少「大げさではないかい」と言いたいが

黙っている。

(そんなことは、たとえ口が裂けても言えない)

 

 

その点、ワシはほとんど転んだりはしない。

だから、少し喜んでいるのかもしれん。

 

 

***

昨日は、通院日だった。

気持ちが少し重たかった。

いや、コロナのためではない。

 

 

4年間の付き合いがあった先生が

転勤で故郷に帰ることになった。

最後の診察の日。

 

 

呼吸器センターの受付で、名前を呼ばれた。

立ち上がった。

前に1歩。

足がもつれた。

 

 

無意識で前の座席の背もたれを、左の腕が

つかんでいた。

かろうじて、転倒は免れたが、左手首を

ねじっていた。

 

 

一瞬、痛い。

名前を呼んだ受付の女性は、待っていた。

 

 

***

先生の診察が終わる。

 

 

私「長い間、お世話になりました、熊本の

Y市には行ったことがないのですが」

先生「この街と同じようなところでねえ

大きな川が流れているよ」

 

 

筑後川のゆっくりとした流れを想像した。

 

 

私「お元気で」

先生「あんたこそ、元気でね」

 

 

帰りの車の中。

家人「あの先生が居なくなると、寂しいねえ」

私「そうだよ、が、仕方がない

故郷に帰るのだから」

 

 

家人「先生の家は、病院でしょうね」

私「さあ、わからんが多分そうだろう」

 

 

***

家に帰って服を着替えた。

 

 

痛い。

手首も、指先も痛い。

服から左腕が抜けない。

 

 

私「おーい、すまん、手伝ってくれ」

家人「これ、どうしたんですか」

左手の甲の腫れを見て驚いていた。

 

 

私「病院であんたが銀行のコーナーに

行っている間に転びそうになってな

手首をねじった」

 

 

家人「病院ではどうもなかったんですか」

私「ああ、お別れの話しのときはどうも

なかった」

 

 

家人「腫れてるだけですね、内出血はなし

青いあざもなし」

なんだか、視差点呼をしている。

 

 

「痛いの痛いの飛んで行け」とは

言わなかった。

 

 

家人にとっては、この程度のことは

名人の域であるから、お見立てを

おまかせした。

 

 

家人「湿布はすぐに外れる、ぬり薬が良いよ」

セキが出て肩がこわる、そのために塗り薬を

常用している。

それを使った。

 

 

冷たくて気持ちが良い。

腫れたところが熱を持っていた。

家人「様子を見ましょう、腫れが

ひどくなったら病院行きですよ」

 

 

***

家人「年を取るって、こう言うことですね」

私「ああ、体がついて行かない」

 

 

家人「とっさのことで、どうしようもない」

私「病院で怪我したってことは

間抜けな話だよ」

 

 

今朝、日曜日。

腫れた手は少しおさまって来た。

 

 

足がむくんで腫れた時と同じでシワが

一つもなかった。

そのシワが少しあらわれた。

 

 

家人「もとの老人性のシワです、安心です」

 

 

***

痛かった。

不自由だった。

 

 

が、しかし、これはブログに書ける。

心の隅でそう思った。

 

 

では、また明日。