お客さんが仏様じゃ駄目、福の神ならいいなあ。
昭和35年のころは、喫茶店が最盛期だったのかなあ。
コロンバンとか、ブルーシャトウとか、ばんじろうとか
とにかく色々とあった。
これは喫茶店のコーヒーではありません、我が家のバターコーヒーですよ。
歌声喫茶もあり、ラテン系の音楽を流す店や、モダンジャズを
きかせるところもあった。
仕事は夜勤があり、夕方から翌日朝まで勤めて、仕事が終わると
かならず、喫茶店でコーヒーを飲んだ。
朝帰りのコーヒーです。
店は掃除が終わって、コーヒーを入れる準備をしている。
「コーヒーは少し時間がかかります、いいですか」
「かまわんよ、気にしないで」
など、会話をかわす。
店の朝刊を開く、新聞のインクのにおいがする。
やがて、コーヒーの香りが漂いだすと、インクのにおいと
入れ替わる。
音楽が流れだす、静かな音でスローバラード。
開店時の音楽は、いつもこんなものが流れていたようだ。
マスターがコーヒーを持ってくる。
「またせたね」
「本日の一番おいしいコーヒーです」
「朝一番に入れるものが、一番張り切ってというか、緊張して
というか、うまく出来ろと気持ちが入っています」
私「仏さんにお茶を上げるようにか」
「お客さんが仏様じゃあ駄目」
「福の神ならいいなあ」
朝帰りの日は、ここでコーヒーを飲むのが決まっているから
いつも会話があった。
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