老老夫婦の暮らしは、面白いに決まっちょる。

暮らしのこと,花や庭木,感じたこと,雑文ブログ。

あいつが三途の川につくまで見守りたかった。

おはようございます。

KZZ(久留米のじじい)であります。

 

f:id:noritomi294:20200124133651j:plain

 蛸に見えませんか?

 

人は、枯れてゆくんだ。

そして、お終いになるんだ。

 

 

人生って、そう言うもんだ。

わかっていますがねえ。

 

 

***

80才は、とうの昔の過ぎて今は90才に近い。

 

 

「お宅は、まだ若いよ」

その友だちは、そんなに言ってた。

 

 

この年代になると、年に数回はこんな話をきく。

こればっかしは、決して楽しい話ではない。

 

 

もう、勘弁してくれって思う。

 

 

あの人は、少し離れたところで、野菜を

作っていた。

 

 

家は農家だった。

もうとっくの昔、息子に後を渡していた。

 

 

家督をついだのときくと、家督だなんて

そう言う立派なものではない。

 

 

農家の俺が、田畑を息子に渡しただけ。

そう言った。

 

 

まわりは、あいつ悠々自適の年金暮らしだとか

楽隠居だとか言ってた。

 

 

それが、病気だって聞いたのがつい最近。

ガンで終末病院に入っていたそうだ。

 

 

それで、近ごろ姿を見かけなかった。

 

 

ときどき、私の畑にもっさりと現れた。

いや、幽霊じゃあない。

 

 

元気だが、動作が静かな人だった。

言葉数も少ない。

 

 

無口な人だった。

「苗を持ってきた、あげるよ」

 

 

何も用事がなければ、そのまま帰る。

 

 

お礼を言う時は、後ろ姿にだった。

そう言う人だった。

 

 

***

学童見守りで一緒になった。

 

 

結構疲れる仕事で、二人一組。

それで、相棒が動けなくなった。

 

 

1名欠員だ。

ワシが候補になった。

 

 

お誘いが来た。

彼が紹介した。

 

 

すまんな、引き受けてくれ。

他に引き受け手が、いないんだ。

 

 

仕方がないOK

「おつきあいを、よろしくな」

 

 

無口の友が、そう言った。

 

 

年中ほとんど、立ち番。

春、夏、秋、冬。

 

 

学校が休みの時は、こちらも休み。

 

 

午後3時から5時までの2時間。

立ちっぱなしで、結構疲れる。

 

 

そんな時に、家で使っている折りたたみの

椅子を使ってみた。

 

 

もちろん2脚。

これが、大当たり。

 

 

とても楽ちん。

これだと疲れない。

 

 

子供たちが通ると目線が同じ高さ。

 

 

話しやすい。

仲良くなった。

 

 

帰っても家には誰もいない。

見守りが終わるまで、傍にいる。

 

 

家の近くまで、一緒に帰る。

共稼ぎだと言う。

 

 

「さよなら、また明日」

 

 

ところが、どうだいこんな始末さ。

 

 

あいつがサヨナラだって。 

 

 

ワシは、あいつが、三途の川につくのを

見守ってやりたかったよ。

 

 

では、また明日。

 

 

 ランキングに参加しています。

クリックをよろしくお願いします。

にほんブログ村 シニア日記ブログ 70歳代へ
にほんブログ村