老老夫婦の暮らしは、面白いに決まっちょる。

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喫茶店のマスターは「一人で気楽にできるのが一番ですね」という。

長い付きあいのなかで、いくつか聞いてみたことがある。


店に流れる音楽を売り物にしたらどう、たとえば
クラッシック音楽とかね。


「なかなか難しいですよ、お客さんの層が決まって
いるなら考えられますがねえ」


「本格的になると、設備投資も馬鹿にならないし」
「そうすると、私の音楽の知識も深くならないとね
お客さんに、馬鹿にされたくないから」


「それとやはり、はやりすたりがあります、これも心配」


もっと食べるものをふやしたり、お昼はランチタイムを
するのはどう。


「私、料理は苦手で下手、そうなるとコックさんが
必要になる」


「それから、ざわざわした雰囲気は嫌いですね」
「今でも、コーヒーカップを静かに洗うように気を
つけていますよ」


「洋皿やスープカップなんかを、ガチャガチャ音をたてて
洗うなんてまっぴらです」


コーヒーの種類をふやすのはどう。


エスプレッソとかトルココーヒーとかは興味が
ありますねえ」


「味がねっとりと、凝縮されたコーヒーは魅力です」


「でもそれで、どれくらいお客さんが来てくれるか
わからない」


「そうなれば、私自身もその味のプロにならないと
駄目でしょう、一筋縄じゃあできないですよ」


常連の古参がいう。


「若くてピチピチのウェイトレスを、3人ほど雇ったら
繁盛するよ」


「その娘たちに気を使って、病気をするのは御免ですよ」


一人で気楽にできるのが一番ですね」という。


常連の古参は帰った。


カウンターの客は、私一人になった。
マスターは、つぶやくように言う。


「結局、コーヒーの味が変わらないか、変わると
お客さんが減るのではと、毎日考えるのですよ」


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