おれは、野菜つくりの神様になれるかも
毎日が早い、一週間が早い、あっという間だよ。
後期高齢者になって1年が過ぎたよ。
介護保険料は天引きになった。全然わからないうちに引かれているよ。
しかし、これが問題ではなく、むしろこのことはありがたいよ。
毎回、毎回、目の前で差し引かれたら、頭に血がのぼって相当なストレスに
なっただろう。
だから、知らないうちに、引いてくれてありがとう。
一日の流れ
朝早くおきて畑の作業をする、新聞を読んでテレビを見ているともうお昼だよ。
お昼のワイドショウを見て、ミ○ネというやつのやたらにつっこみ癖のある
一人舞台を、ヘキヘキしながら見ている。
夕方には、明日はたいした用事もないのに、天気予報を見てお天気のぐわいを
気にしている。
夜は、むずかしいニュースの解説を見て、そのときはうんうんと相槌を
うっているが、翌日はものの見事に頭のなかが、からっぽになっている。
だから、何のストレスもなく眠りにつく、すぐ眠る。
近所、まわりの情報の流れ
おくさんと隣人たちの会話はいつもおなじだ。
まわりの高齢のだれだれさんが、こんな病気で、こんな病院で、こんな先生で
こんな薬で、こんな体調だと、まいど、そんな話ばっかりだが、ビックリするほど
くわしくて、当の本人よりくわしいのじゃないかと思うほどだよ。
これが「自然と集まってくるよ」という情報の流れは、おくさんの人徳か。
一方、畑仲間の会話も、野菜つくりのことより体調や病院のことがおおいよ。
この世間ばなしをしていることが、時間がたつのが早い、原因の一つだろうか。
時間がデジタル表示になってから
デジタルの電波時計だから秒まで合っている
時間の配分とか、時間の予測とかがむづかしくなってきた。
身体の調子にあわせててどうする、こうすると、時間をゆっくりあわせる
のができなくなった。
「せっかちになったですね」とおくさんがいう。
デジタル的であることは、何時、何分、何秒がピッタリでそれ以上でもなく
それ以下でもない。
アナログ的であることは、時計の針の位置を見て朝ごろ、昼ごろ、夜ごろの
おおらかなつかみとりである。
10分以上進んでいるよ
うちの時計は10分以上進んでいるから、いつもだいたい何時何分だよになる。
「計算がいるから、認知症の予防だよ」とおくさん。
季節の流れが、本当の時の流れだよ
まあ、これだけ異常気象になってくると、二十四節季にあわない部分も
でてくるが、昔、時計のない時代はまわりの自然の流れから、おおらかな時という
認識を持ったのであろう。
風の音、虫や鳥の声、花の移ろいなどこう書いていると、文字そのものが
ゆったりとしてゆく。
お茶の時間になる、畳にすわる窓のそとを眺めながら、お茶をすする。
「ツクツクが鳴いていますね」
「朝、コオロギが鳴いていたよ、空気が涼しくて気持ちがよかったよ」
「これから秋が深まりますね」
と言葉をきくだけで、ゆっくりになる。
この、ゆったり感で暮らして行きたい。
時の流れに身をまかせだな。
このはやさだと、野菜の成長もはっきり見えるようになる。
野菜たちは何が欲しいか、気持ちがはっきり見えるようになる。
そうなれば、なんとすばらしい!
俺は野菜つくりの神様になれるかも。